*本記事は2025年10月時点の公開情報をもとに作成している。診断や治療の適否は必ず医師の診察を受けて判断すること。各国の規制や臨床運用は変動するため、詳細は各国の公式ガイドラインや医療機関で確認する必要がある。
はじめに
これまで日本国内におけるAGA治療についてまとめてきた。 内服治療や内服+外用剤、 その他の治療法についても詳しく紹介してきた。 今回は視点を広げ、アメリカや欧州を中心とした海外のAGA治療について整理する。 各国の治療ガイドラインを踏まえ、日本との違いを比較することで、より理解が深まる。
アメリカにおけるAGA治療
アメリカではFDA(米国食品医薬品局)が承認しているフィナステリド内服薬とミノキシジル外用薬が標準治療である。いずれも保険適用外であり、自由診療として提供されている。アメリカ皮膚科学会(AAD)のガイドラインでも、男性型脱毛症における第一選択はフィナステリド内服とミノキシジル外用であると明記されている。一方で、ミノキシジル内服はAGA治療薬としてはFDAに承認されていない。ただし高血圧治療薬として承認されている経緯があり、近年は低用量のミノキシジル内服をAGAに対して処方するケースも報告されている。これはoff-label(適応外使用)であり、一部の医師やクリニックで実施されている。
欧州におけるAGA治療
欧州皮膚科学会(EADV)や英国皮膚科学会(BAD)のガイドラインでも、フィナステリド内服薬とミノキシジル外用薬が標準治療とされている。デュタステリドは一部の国では処方可能であるが、欧州全域でAGA治療薬として承認されているわけではない。ミノキシジル内服についても、欧州ではAGA治療薬としては承認されていない。ただし低用量のoff-label処方として行われることがあり、特に外用で効果が乏しい症例や副作用で継続困難な患者に対して選択されることがある。補助療法としてレーザー治療やPRP(多血小板血漿)注入が併用される場合もあるが、いずれも自由診療での提供が中心である。
日本におけるAGA治療との違い
日本ではフィナステリド、デュタステリド、ミノキシジル外用薬(が厚生労働省によりAGA治療薬として正式に承認されている。これにより、これら3つの薬剤が国内における標準的な治療選択肢となっている。
一方で、ミノキシジル内服は日本でもAGA治療薬としては承認されておらず、いずれの地域でもoff-labelでの処方にとどまっている。あくまで高血圧治療薬としての承認であり、AGA目的での使用はoff-labelとなる。実際には多くの自由診療クリニックで処方されているが、公的に効能・安全性が保証されているわけではない点に注意が必要である。つまり、日本・アメリカ・欧州の3地域において、承認薬としてはフィナステリド内服とミノキシジル外用が基本であり、その他の治療薬は承認の範囲や普及度に差があるに過ぎない。
まとめると、日本ではデュタステリドが正式承認されている点が大きな特徴であり、欧米と比較すると選択肢がやや広い。一方で、ミノキシジル内服に関しては日米欧すべてで未承認であり、臨床現場で自由診療として使用されているのが現状である。
まとめ
日本・アメリカ・欧州のAGA治療はいずれもフィナステリド内服とミノキシジル外用が基本であり、大きな差はない。ただしデュタステリドやミノキシジル内服の扱い、off-label処方の普及度に違いがあり、治療選択肢の幅に影響している。治療方針は個々の症例により異なるため、必ず医師と相談のうえで決定することが重要である。

